パチンコについての話をする時、実に面白い現象が起こります。
パチンコをする人間同士が話をする時は、ほぼその話題は挙がらないのに、パチンコをしない人間(特にアンチ派)と話をするとかなり早い段階で挙がってくるのが、「換金問題」です。
今回は、件の換金のお陰で生きてきた人間が、経験に基づいて私感を書いていく内容になっています。
パチンコの換金は違法か?
とりあえず結論を書いてしまえば、現時点ではパチンコの換金は「違法ではない」です。
大事なことだから2回書くきますが、あくまでも「現時点」。
そもそも、なぜ違法なのでは?
との話が出てくるのでしょう。
ご存知の通り、日本は「賭博禁止」国家。
風営法をしっかりと読んでいたのは、かれこれ6~7年前だから今は違うかも知れないし、うろ覚えの部分も多いですが。
そんな朧げな記憶で賭博を定義すると。
「偶然の結果によって金が増えたり減ったりする」
というのが大前提となります。
なるほど、この前提に沿うのであれば、偶然の影響が甚大なパチンコ・パチスロなんてもんは、当然「賭博としての要件を満たしている」と思えるわけです。
直接的に金のやり取りでなくとも、物もダメ
ここまでを見れば、特殊景品(換金するやつ)や、普通の景品だってダメに感じるでしょう。
ですが、風営法的には以下のようなものがあります。
「金や有価証券以外で、9,600円以下の景品なら提供してもイイよ。」
ってもの。(乱暴に要約しています。)
そう、ここがミソ。
この9,600円以下の景品は、「一般景品」なんて呼ばれるもので、「風営法的には提供してもOK」なのです。
賭博罪的にはアウトっぽいのに、風営法的には合法。
なんでか知らんが、これで世の中は廻ってきました。
思う所はあるでしょうが、今までの話、百歩譲ってOKとしましょう。
でも、直接的な金銭や有価証券などのやり取りはどの立場から見ても違法であることは事実。
なのに、パチンコで「何万勝った」なんて話を聞きますよね。
もっと言えば、米や酒、大量のお菓子をバカみたいに抱えて帰ってくる人なんて見たことないはずです。
さっきまでの話における景品の分類は「一般景品」。
ここで出てくるのが「特殊景品」というヒーロー(?)。
特殊景品ってなんじゃい?
みんなが嬉しそうにカウンターで受け取る、一見なんの価値もないように見える「カード」とか「文鎮」なんて言われる、良く分からないモノ。
あれが、みんな大好き「特殊景品」です。
特殊景品の定義は
「各都道府県の公安に認可された古物商に売ることを前提として提供される景品」
となっています(らしい)。
要するに「転売するための商品」ということ。
で、パチンコ店の中には「認可を受けた古物商」は存在していない。
あくまでも、パチンコ店は「風営法上で認められるモノを景品として交換しているだけ」です。
そして打ち手がその合法な景品を持って「店の外」に出ると、どういうわけか、偶然、ホント奇跡的に「認可を受けた古物商の店」が存在している。
あなたが、その価値があるのかどうか良く分からん特殊景品を、どうしたもんかと考えている所に渡りに船のお店が現れる。
そうなれば、当然その特殊景品をそのお店に買い取ってもらうことになるでしょう。
あくまでも偶然そこにあったお店に、あなたが所有しているものを、あなたの意志で中古品として売った。
ゲームや漫画を売るのと一緒です。
「おいおい、ゲームや漫画なら身分証の確認が必要じゃないか」
との指摘に対しては、先述の9,600円以下のモノ。
という取り決めが生きてきます。
古物商の取引は、基本的に身分証の提示が必要となるが、1万以下でゲーム、書籍、CD、DVD、原付(自動二輪)以外の商品であれば身分確認ナシでOK。
となっているのです。
これは古物商。
質屋とかの性質上分からんでもない決まりとも思えなくもない。
特殊景品はここの部分を見事についているわけですね。
さて、そんなこんなであなたは特殊景品を売って現金を手に入れました。
おや、ここまででお気づきですね。
パチンコ店は現金に換金する行為を一切行っていない、関わっていないのです。
あら不思議、つまりは「法律的に問題なし」ということです。
・・・なにを屁理屈を。
それに古物商が買い取った特殊景品はパチンコ店に戻ってくるじゃないか。
確かにその通り。
でも、あくまでもパチンコ店は、古物商が卸業者に売った特殊景品という商品を仕入れているだけ。
あらゆる面において、法律的にはパチンコ店・古物商・卸業者はなんの関係性もありません。
すべては偶然なのです。
ってのが、パチンコの換金が合法とされる仕組み。
いわゆる「三店方式」ってやつです。
普通に考えればみんなグルだし、事実そう。
そんなことは分かっているから、みんなは「パチンコの換金は違法」というわけです。
でも、先述の通りあくまでも「法律上は合法」。
なもんで、間をとって「グレーゾーン」として今までやってきました。
パチンコ換金は全て警察の思惑
なんとなくパチンコ換金の仕組みは分かった。
でも、普通に考えれば違法っぽいんだから、警察が取り締まるべきだと思う人も少なくないでしょう。
ま、みんなご存知、警察はとてつもない甘い汁をパチンコ業界から吸い続けているわけで、自分から金の成る木を切り倒しに行くバカはいません。
自浄作用0の警察という組織なのだから尚更。
しかも、後ろ盾に政治家先生たちも付いているのだからね。
おや?ヤクザ屋さんは後ろ盾に出てこないのか?
と思う人もいるかも。
結論を言ってしまうと、「パチンコ業界はヤクザとの繋がりは想像以上に薄い」
店舗の店長や役職がヤクザ屋と組んで裏基盤仕込んだりは今でもたまに聞きますが、業界としてはむしろ「ヤクザ追放」なのです。
その理由は三店方式が出来た経緯にあります。
三店方式が出来た経緯
60数年前。
その頃はパチンコ屋で勝った人は、普通の景品と交換していた。
今で言うところの一般景品だ。
娯楽なのだから、タバコやお菓子が手に入れば良いや。と思う反面、「やっぱり現金が欲しいな~」と思うのが人情。
そんなことを考えている時、後ろから声を掛けられる。
「そのタバコ、買い取ろうか?」
この声を掛けてきたやつは、お察しの通りヤクザ(チンピラ)だ。
ユーザーは現金が手に入って嬉しい、ヤクザ屋はその景品で潤うという仕組み。
当時は今よりもパチンコをやる人間には粗暴な人が多かった。
そのため、ヤクザ屋はパチンコ屋のケツ持ちもやっていた。
最初のころはなんやかんやで上手く回っていたのだが、徐々に歯車が狂う。
ユーザーがヤクザの買取価格に納得せず、売らないと突っぱねると裏に引っ張られて暴行される。
というような事案が出てきたのだ。
そういう輩が多いパチンコ屋には客が来なくなる。
でもケツ持ちの金も払わなければならない。
あらゆる面でパチンコ屋はヤクザが鬱陶しい存在になった。
そんな折、大阪府警で面白い案が持ち上がる。
それが件の「三店方式」だ。
三店方式を使い、環境をクリーンにすることを名目に、警察は上手いことパチンコの利権に食い込む。
幸か不幸か、この三店方式は上手く機能しヤクザ屋は関われなくなり、パチンコ業界は後ろ盾を警察に乗り換えることを選んだ。
その大阪での実例を受けて、この三店方式と後ろ盾を警察にするという選択が全国に広まっていき、今に至る。
ざっくり書くとこんな感じです。
つまりヤクザ屋はパチンコ業界に入り込みたくとも、相手が警察なので手をこまねいているしかないということになります。
だから世間で思われるほど、パチンコ業界はヤクザ屋と関係性はありません。
0とは言いませんけど。
で、ここまでで分かった通り、今の問題のあるグレーな換金システムを作ったのは紛れもなく「警察」。
こういった背景があるのだから、おいそれと違法性を認めることができるわけがありません。
警察とその背後の政治家の思惑が透けて見えますね。
換金問題だけではない
ここで改めて書くと、「三店方式は違法ではない」。
フェアプレー賞は貰えませんが、ルール違反でもありません。
ついでに警察たちが今でもどのようにパチンコ業界に関わり、甘い汁を吸っているかを書いてみようと思います。
新台入れ替えにおける検査と書類代
これはかわいいもの。
新台入れ替えの時には、警察に関連書類を提出する必要がありますが、これがそこそこの値段。
小遣いぐらいにはなります。
ま、これはあらゆる業界で見られる常套手段ですけど。
天下り
保通協という団体をご存知でしょうか?
これは「台が規制の範囲内で作られているか?」をチェックする機関。
職員の多くは警察天下りではないようですが、幹部連中にはちらほら。
ちなみに、検定料は「1回180万」となっている。
あくまでも「1回」です。
不適合とされ、2回3回と持ち込む度に、同一の金額が掛かり倍々ゲーム。
ちなみに台がどうこうだけでなく、提出書類に誤字脱字があるだけでも「もう1度180万持ってこい」となります。
そのため、アホみたいな量の資料を穴が開くほどチェックする羽目になるわけです。
他の団体などにも、アドバイザーみたいな形でちょこちょこ天下りが居ます。
天下りは他の業界にもある話だから、まぁね。
これからのパチンコ換金はどうなる?
IR法案が通過し、いよいよカジノが作られるようですが、それに付随してパチンコの換金が合法化されるかと言えば微妙なところだと思います。
風向き、世論としてみればパチンコの換金を禁止にする方が良いのですが、影響力は落ちているとはいえ、まだまだ政界に深く根を張っているのも事実。
一度に全面禁止とすることは難しい。
いっそ一度パチンコ業界を潰して、国営ギャンブルとしてみるのも面白い。
薄くなってきてはいますが、やはりパチンコは朝鮮絡みの賭博。
そのことを良く思っていない人を納得させるには今までの人たちを排除する必要があります。
色々と考えられるし想像は出来ますが、実際のパワーバランスが完璧に把握できていない以上は、なにを言っても机上の空論です。
ただ、このままの風当たりが続くのなら、警察と政治家にその責任が問われる前に、業界を切り捨ててくる可能性は決して低くはないでしょう。
いつも何度も法の網の目を抜けてやってきた業界ですが、それはいつも決める側の人間が抜け道を残してきたから。
それが、故意か本当にバカだからかは分かりませんけど。
もし、今までのがすべて故意であったのなら、抜け道を残さない完全封殺も可能。
そうなれば、さすがに生き残ることはできません。
なんだかんだで、
「パチンコの換金が今のまま残るだろう」
と安直に考えるのはあまりオススメしません。
今もそれで食っている人間は、少し危惧して身の振り方を考えておく方が良いでしょう。
まとめ
結局、三店方式もそうだが「風営法」自体が結構「?」です。
あるお風呂屋さんは全部OKだが、こんなもん屁理屈以外のなんでもない。
たまたまお風呂屋さんで出会った人が、その場で恋に落ちちゃった。
2階に布団やベットがあるよ、良かったら使ってね。
自由恋愛だからしょうがないよね。テヘペロ。
・・・いやいや。
となりますが、仕方ありません。
だって法律でそう決められているし、この日本は「法治国家」だもの。(違うけど)
パチンコの換金は0になるかどうかは分からない。
でも、あまり楽観視もできないぐらいの状態になっていることも確かだと言えます。